藤沢市菖蒲沢のカフェ「HOMEROASTING 7325COFFEE」。常連客に愛される風味豊かなコーヒーの秘密は、豆を少量ずつ、自家焙煎していること。ゆったりとした店内では、お客さん同士で会話が生まれることも。店主の亀井雄介さんに、カフェとして、焙煎所として大切にしている姿勢について伺いました。
大きな県道沿いながら、木々に囲まれ、店内に一歩入るとゆったりと静かな空間が広がるカフェ「HOMEROASTING 7325(ナミニコ)COFFEE」(以下、7325COFFEE)。
コーヒーのいい香りと、友人の家を訪問した時のような、親しげな「こんにちは」という声が出迎えてくれました。
店主の亀井雄介さんが心がけているのは、「お客さんとの距離が近く、いい意味でラフな接客」。
「7325COFFEEでは『いらっしゃいませ』って言ったことがないんです。『こんにちは』『初めまして』『お久しぶりです』『元気ですか?』って、世間話をするみたいな接客を心がけていますね」と語る亀井さん。
「お店をはじめた時はコーヒーも焙煎も経験が浅かったので、自分にできることを考えたら、お客さんとの会話を大切にすることだなと思って」
お店に入った人を出迎える亀井さんの「こんにちは」という朗らかな声が、その姿勢を表しているようでした。
亀井さんが「世間話のような親しみのある接客をしたい」と感じるようになったのは、以前、ワーキングホリデーでオーストラリア最西端の街・パースに行った際に訪れた、カプチーノ通りでの体験が大きかったそう。
そこでは、年齢、性別、人種も関係なく、誰でもウェルカム。「店員」と「お客様」という上下関係をつくらない、自然な接し方が心地よかったのだとか。
亀井さんの思う「心地よいお店」の空気感は、内装にも現れています。木の質感が温かい印象のお店は、祖父が使っていたトラクター小屋を、知り合いの大工さんにリノベーションしてもらったもの。
亀井さんが選んだアートワークやインテリアに加え、日本家屋の技術もしっかりと残され、ポップさとノスタルジックさが絶妙にマッチした内装に。
さまざまなセンスが入り混じった空間で、お客さん同士の会話も自然と生まれるのだとか。
そんな居心地のいい空間で提供されるのは、自家焙煎のコーヒー。同じ敷地内にある五右衛門焙煎所で、亀井さん自らが焙煎した豆を使っています。
「焙煎はほとんど独学なんです」と笑う亀井さん。
焙煎中は豆の様子を直接見ることができないため、1分ごとに温度を測って豆の状態を管理するそう。亀井さん自ら、たくさんの試行錯誤を繰り返したデータを元に、絶妙な焙煎具合で仕上げてくれています。
コーヒー豆は、7325COFFEEの隣にある建物「五右衛門風呂焙煎所」の2kg釜でこまめに焙煎
建物のなかには、焙煎所の名前の由来になった古い五右衛門風呂や釜戸が残っています
7325COFFEEで取り扱っている豆は、常時6種類ほど。うち1種は、その時々によって違う期間限定の品種が楽しめます。さらに、妊娠中の方でも飲めるデカフェの豆の用意も。
店内では挽きたて、淹れたてのコーヒーを飲むことができるので、気になるメニューを試してみてから豆をテイクアウトするのもおすすめ。
一番人気の商品は「オリジナルブレンド」。朝でもおやつの時間でも飲みたくなるような飽きのこないコーヒーは、たくさんの人たちの「ほっとする味」になっています。
コーヒーカップは、亀井さんが趣味の陶芸で自作したものだそう
亀井さんにコーヒーのこだわりを伺うと、「豆の新鮮さです」と即答してくれました。
コーヒーは鮮度によって味や香りが変わってしまう繊細な飲み物。本来の味や風味、香りを感じてもらうため、いつでも新鮮な挽きたての豆を提供できるように週に3回、小さな焙煎釜でこまめに焙煎をしているのだそう。
コーヒーと合わせて7325COFFEEで注文して欲しいのが、すべて手づくりのフードの数々。
コーヒーに合うよう考えられたクッキーやケーキ、自家製酵母のパンなどが用意されています。お子さんたちにも大人気の、体にやさしいおやつです。
また、7325COFFEEでお買い物をするとき、浜辺に落ちている「ビーチグラス」を持ち込めばちょっといいことがあるそう。
ビーチグラスを地域の共通通貨にする「ビーチマネー」の取り組みに参加する7325COFFEEでは、30円割引もしくは、ドリンクのサイズアップができるチケットと交換できるなど、ちょっとお得に買い物ができます。
誰でも居心地よく過ごすことのできる7325COFFEEは、もちろんお子さんも大歓迎。
店内や、お店の外には子どもたちが楽しめる工夫がたくさん。レトロな井戸の手押しポンプは、昔実際に使われていたものですが、今ではすっかり子どもたちの遊び道具に。その他にも、子ども用のおもちゃやボルダリング設備まで揃っています。
手押し式の井戸があったり、柄杓のなかにヤドカリのオモチャがあったり。店内外には、子どもが飽きずに遊べる工夫がたくさん
お店を出てすぐの場所には、子ども用のボルダリング設備も
ご自身も子育て中の亀井さん。子どもも楽しめる工夫を凝らした7325COFFEEでは、大人はゆっくり、子どもは楽しく過ごすことができます。
ぜひ、他では味わえない香り豊かなコーヒーと、お店で生まれる会話を楽しみに、7325COFFEEへ足を運んでみてください。
ご注文はこちらから→ HOMEROASTING 7325COFFEE – ハックツ!
【プロフィール】
亀井雄介さん
2013年にHOMEROASTING 7325COFFEEを開業。店名の7325(ナミニコ)には、「東日本大震災のような怖い津波がこないよう、波(ナミ)がニコっとしていますように」という願いが込められています。